色決めの注意点
2018.05.26
『せっかく屋根や外壁の塗替えをするのだから、どんな色にしようか、色にもとことんこだわりたい』
お家の塗替えにどんな色を選ぶかイメージを膨らませるのは、とても楽しいひと時です。
しかし一方で...
『自分のイメージしていた色と違う気がする』
このような施工後の感想を耳にする事もあります。
お恥ずかしい話ではありますが、弊社でも実際にこのようなご指摘を受けた事が"過去に"あります。
今回は、なぜこのような事が起こってしまうのか、対処法を踏まえてご説明致します。
皆様の塗料の色決めについて、少しでもご参考になればと思います。
【色の見え方】
さて冒頭にあったように、なぜ自分のイメージとは違った仕上がりに"感じて"しまうのか。
その答えは、『色は条件によって見え方が変わってしまう』からなのです。
では、その条件とは一体何なのか、1つずつ見ていきましょう。
『光源(こうげん)』
スーパーの店先では真っ赤で美味しそうなトマトが、家の蛍光灯の下では、何となく赤みがくすんでいて美味しそうに見えない...。こんな経験をされた方もいらっしゃると思います。
これは光源の違いにより、同じものが違う色に見えてしまう事例です。
光源とは、その名のズバリですが"光の素"の事で、太陽の光・蛍光灯・白熱電球・LEDランプ・ろうそくなど、これら全てが光源となります。
そして、先程のトマトのように同じ物であっても、それぞれ照明光源の違い(太陽光と蛍光灯)によって、違う色に見えてしまうのです。
ちなみに、塗り板(実際の塗料を試し塗りしたA4サイズのサンプル)で写真を撮ってみました。
太陽光(屋外)
続いて蛍光灯(室内)
いかがでしょうか。
色の違いは明らかですね。(太陽光の方が灰色というか青白いというか...)
もちろんどちらの塗り板も、全く同じ物を使って撮影致しました。
このように光源が違うと見える色も変わって見えてしまいます。
※対策※
打合せは室内でする事が多いと思いますが、最終的に太陽光の下で確認しましょう
(屋根や外壁は外装の為、施工後に確認する場所は、太陽光に照らされた屋外だから)
『角度』
一般的に物の色は、見る角度がわずかに違っただけでも明るい色に見えたり、暗い色に見えたりします。
これは角度により、対象物への光の当たり具合が変化する為だと考えられます。
特に外壁の場合、サイディングに模様があったり、モルタルの素材など、塗装面が平面ではなく凹凸になっている事が殆どです。
そしてその凹凸に光を当てれば影が出来て、さらに角度を変えると、当然影が出来る位置も変わってきます。
従って、こちらの見る角度と光源の位置の両方が関わってきます。
今回も実際の塗り板を使用して、見え方が変わるか検証してみます。
真上
続いて角度を変えて横から
いかがでしょうか。
光源の時程違いはハッキリしませんが、真上の写真の方が明るい緑色に見え、横からの写真の方が若干暗い緑色に見えると思います。
どちらも当社事務所内で撮影しましたが、サンプルとした塗り板は、凹凸のあるものを使用した為、影の出来具合・場所が変化し、このような結果になったと思われます。
※対策※
サンプルを塗装する箇所(外壁)に当てて確認しましょう
(但し、今回の対策は屋根には対応できません...)
『サイズ』
実は、お家の塗替えでイメージと異なった仕上がりになる一番の原因が、これかもしれません。
色は、見る面積の大小によって見え方が変わってしまいます。これを面積効果と言います。
どういう事かというと、明るい色の場合小さい面積に比べ、大きい面積の方が明るく見えます。
反対に暗い色の場合は、小さい面積に比べ、大きい面積の方が暗く見えます。
これを色の三属性(色を決定づける要素 ※詳細はこちら)に当てはめると、さらに詳しい解説が出来ます。
≪明るい色の場合≫
・色相(色み)...面積が大きい程、色みが強調されます
・明度(明るさ)... 〃 色が明るく見えます
・彩度(あざやかさ)... 〃 色があざやかに見えます
≪暗い色の場合≫
・色相(色み)...面積が大きい程、色みが強調されます
・明度(明るさ)... 〃 色が暗く見えます
・彩度(あざやかさ)... 〃 色がくすんで見えます
一般的に屋根や外壁の塗替えにおいて、色決め作業は、使用する塗料を決定した後に行います。
なぜなら、塗料によって選べる色が異なるからです。(塗料Aで使えるZ色は、塗料Bでは使えない等)
そして色決めは、使用する塗料のカタログに記載のある色見本から選択する事になります。
色見本は、大体2㎝×4㎝の大きさ(メーカーや塗料によって誤差あり)ですので、家の屋根や外壁と比べるとかなり小さい面積で判断する事になります。
ここに「施工前のイメージ」と「施工後の仕上がり」に感覚のズレが生じてしまう原因が隠されているのです。
色見本
塗り板いかがでしょうか。
同じ色とは思えない程の差が出てしまっていますね。
色見本と塗り板でもこんなに違った色に見えてしまうので、実際に屋根や外壁へ塗った場合にイメージと異なってしまうのは、ある意味頷けます。
※対策※
出来ればカタログ色見本と合わせて塗り板サンプルを確認しましょう
(塗り板は、作成の有無・料金の有無・作成期間などの諸条件が各会社様で異なります)
もし色見本のみで選択する場合、明るい色は1トーン暗めの色、暗い色は1トーン明るめの色を選ぶと良いと思います。
『表現方法』
通販で、春にピッタリなピンク色の洋服が気に入ったので購入したが、2日後到着した実物を見たら、何か地味すぎてイメージと違う...
皆さんも似たような経験をされた事あると思います。
これは、色の表現方法(作り方)に違いがある為起こってしまうのですが、「光の三原色(パソコンやテレビの表現方法)」と「色の三原色(プリンターや絵具の表現方法)」と言います。
つまり、パソコンやテレビなどのデジタル画面で色を表した場合と、プリンターや絵具などの実物を混ぜて色を表した場合では、見え方が変わってしまうのです。
デジタル(弊社のパソコン)=光の三原色にて表現 ※出典:エスケー化研㈱HPより
実物(弊社のプリンター)=色の三原色にて表現
いかがでしょうか。
似たような色に表現されている場合もありますが、違った色に見えるものもありますね。
弊社パソコンの性能やプリンターの性能を差し引いても違いが判ると思います。
さらに赤枠の文章にご注目ください。
「画面上の色は、ご使用のモニターによって、実際の色とは異なって表示されますのでご注意ください」
実は、塗料メーカー様もちゃんと注意事項としてデジタルと実物は色が異なる事を注意喚起しているのです。
ご使用になられるパソコン自体の性能(16ビット・24ビット等)やディスプレイの設定(ブルーライトカット等)によって、明度(明るい・暗い)や彩度(あざやか・くすんだ)が異なって見えてしまうのです。
そう言った事もあり、弊社ではカラーシミュレーションソフトを導入せずに、なるべく現物の色見本や塗り板で、判断して頂いております。
※対策※
デジタル画像と合わせて現物(色見本や塗り板)で確認しましょう
捕捉ですが、デジタルのカラーシミュレーションがダメと言っているわけではありません。
全くイメージの湧かない方には、素晴らしい機能ですし1つの方法だと思いますが、最終確認は現物で行い、決定されるのが宜しいかと思います。
『感度』
最後は、人の感覚についてです。
人間の目の感度にはそれぞれ個人差があり、ある分析によると色覚が正常とされる人でも殆どは赤色か青色に僅かに偏る事が指摘されています。
また年齢と共に視力にも変化が現れる、女性の方がより詳細な色を識別出来る能力があるなど、見た人の感覚によっても見え方が違ってくるのです。
皆様も色の見た目について、家族や友人と意見が食い違った経験が1度や2度はあるのではないでしょうか。
※対策※
こればかりは対処法がありません...最後は自分の感性を信じましょう
オレンジと言ったら?
【まとめ】
ここまで色の構造・見え方・対処法などを解説してきました。
塗装の色決めについて、少しでもご理解頂けたなら大変嬉しく思います。
最後に当社(H2リフォーム)の色決め方法についてご説明致します。
一連の流れとしては、大体以下の3パターンになる事が多いです。
塗料決定➡当社お任せ➡色決定
塗料決定➡塗料メーカーカタログの色見本➡色決定 ※一番多いパターンです
塗料決定➡塗料メーカーカタログの色見本➡塗り板(当社事務所内の標準色)➡色決定
この他にも、カタログの色見本で2~3色に絞った後に最終決定を当社にお任せして頂く場合や実際のお家を使ったカラーシミュレーション(有料)をする場合もあります。
『濱田さんのお任せでいいよ』『色見本を見るだけで十分』『塗り板でも判断したい』など...
人によって色の"見え方"が違うのと同じように、お客様の色に対する"こだわり"や"決め方"も千差万別です。
弊社においても出来る事と出来ない事がありますが、出来る事の範囲内で精一杯お客様の立場に立ったご提案をさせて頂きます。
是非お気軽にご相談ください。